(P)スマート望遠鏡のこと
スマート望遠鏡が話題になっています。
アイピースの代わりにデジタルカメラを取り付けてPCのディスプレイで画像を楽しむ「電子観望」がはやっているというのを聞いたのはここ数年のお話。でも、それとてもまだ昔ながらの大きな赤道儀と長い鏡筒の望遠鏡・・・の延長でした。
それがスマート望遠鏡になるとポンと三脚を立てたら極軸の自動アライメントから天体の自動導入、自動追尾・・・そして何十枚もの写真を自動スタックして5~10分もたてば「図鑑」と見まごうような星雲・星団・惑星の姿がPCやスマホに表示される仕組みです。
僕の高校時代の天文部では極軸望遠鏡もない赤道儀にモータードライブもありません。フィルムカメラの感度はせいぜいISO400だから、「暗視野ガイドアダプター」を頼りに手がプルプル震えるのを抑えつつ手動ガイドして「数十秒~数分」が限度でした。それだけに天の川なんかが写ればもう「万歳!」という、何とも隔世の感ありです。
出はじめは60万円もしていたスマート望遠鏡はZWOという中国メーカーから出ていたSeestar S50でいきなり10万円以下に、さらにこのほど廉価版のS30が発売され、その値段なんと7万円切り!また別のメーカーからも、さらに小型軽量の対抗機種DWARFシリーズにも最新バージョン「3」が登場しました。
まさに百花繚乱の様相ですが、僕はまだまだ「自分で天体を導入して、写真を撮る」というプロセスを楽しみたいと思っています。機材だけ外にセッティングして自分は暖かい部屋の中、下手したら布団にくるまって星を見る・・・なんて「邪道」という想いもないわけではありません。
という訳で、僕の自分の天体写真のテーマは「高校天文部の続き」として稚拙ながらもプロセスを楽しんでいくことにしました。だからスマート望遠鏡にはまだまだ手を出せそうにありません。
写真は標準レンズによる固定撮影+ソフトによるスタックからさらに一歩踏み出して、中望遠(フルサイズ換算105mm)とモータードライブによる追尾で撮影した紫金山・アトラス彗星です。
デジタル様サマ・・・これだけでも高校時代の僕からすれば「夢のような」一枚なのです。
